ハラール認証で国内初の米国進出へ 宮崎牛をムスリムに届ける最先端の牛肉専門と畜場

2021年、宮崎県西都市に設立された、牛肉を専門で取り扱う食肉加工会社の株式会社SEミート宮崎。血抜きと温度管理を徹底することでバクテリアの繁殖を防ぎ、食肉の鮮度を保持。安全性が認められたことから、イスラム教徒が摂食できる「ハラール認証」を取得しました。
■ 畜産農家の危機を乗り越えるために想いと力を結集
■ イスラム教徒(ムスリム)をターゲットに「ハラールと畜」の認証取得を
■ 日本の畜産加工技術と食文化を世界へ広げたい
畜産農家の危機を乗り越えるために想いと力を結集
「飼料高騰などの影響により、畜産農家の経営がとても厳しい状況になっています。」と代表取締役の有田米増様。畜産に従事する人々を活気づける、そんな想いで畜産農家4社が結集し、株式会社SEミート宮崎を2024年に立ち上げました。
国内で同業者の価格競争により共倒れ状態になっている現状を打破するため、ターゲットは海外。ある取引先からの「イスラム教徒(ムスリム)の多いブルネイに宮崎牛を出荷したい。そのために、イスラム教徒でも食べられる方法でと畜をしてほしい」とのご相談をきっかけに「ハラールの認証」を取得したと畜場を目指し施設計画を開始しました。
イスラム教徒(ムスリム)をターゲットに「ハラールと畜」の認証取得を
2024年7月現在、国内でハラール認証を取得していると畜場は8ヶ所。SEミート宮崎様は県内で唯一のハラールと畜場で、肉牛のと畜から加工・梱包・出荷までワンストップ対応が可能な施設を立ち上げました。
ハラールと畜の認証を得るには、様々な基準を満たす必要があり、例えば肉牛のと畜を行うにあたっては、頭をメッカ(イスラム教の聖地)の方角に向けるのが鉄則。また、と畜作業もイスラム教徒が担当し、必ず祈りを捧げてから処理することが定められています。 作業を行うイスラム教徒のスタッフは日本人と比べても小柄で、その体格や腕力に合わせた独自の刃物の設計になっているとのこと。様々な面で工夫されたと畜場は、1日最大50頭まで処理できる体制になっています。
ハラールと畜の認証を得るには、様々な基準を満たす必要があり、例えば肉牛のと畜を行うにあたっては、頭をメッカ(イスラム教の聖地)の方角に向けるのが鉄則。また、と畜作業もイスラム教徒が担当し、必ず祈りを捧げてから処理することが定められています。 作業を行うイスラム教徒のスタッフは日本人と比べても小柄で、その体格や腕力に合わせた独自の刃物の設計になっているとのこと。様々な面で工夫されたと畜場は、1日最大50頭まで処理できる体制になっています。
約3,000㎡の場内は、工程ごとに適した温度で管理されています。と畜された直後の肉牛はマイナス40℃の冷凍室で急速冷凍され、翌日以降はマイナス20℃の冷凍室で管理されるなど、幅広い温度帯で室温がコントロールされています。
場内で有田様の強いこだわりが反映されているのが、自動搬送レーンを採用した冷凍倉庫です。梱包された商品を冷凍保管する倉庫は、高さ約11mに及ぶスケール。商品は全てシステムで一元管理し、搬入・搬出はオートメーションで完結する設計になっています。ヒューマンエラーによる在庫の見落としや運搬のミスを防ぐと同時に、冷凍保管庫での作業を機械化することで労働環境を大幅に改善しています。 「氷点下での作業が続くと、それだけで従業員の負担になってしまいますし、万が一の事故やトラブルが起こらないためにも自動搬送システムはぜひ導入したいと考えていました。」最新鋭の設備を採用する決断に至るには、有田社長の社員の方々への思いやりがありました。
日本の畜産加工技術と食文化を世界へ広げたい
最初のステップとして、2024年8月に国内でのハラール認証を取得されたSEミート宮崎様。さらに北米進出に向けて高規格の認証取得へ歩を進めています。そして次の目標として、海外の企業とタッグを組みながら、現地に製造拠点を設けて商品を展開させていきたいとのこと。
「イスラム圏の国々は、牛肉を摂る機会が少ないため、おいしく食べる知識や技術が十分に普及していないのが現状です。牛1頭をまるごと消費する食文化や技術が広まっていけば、現地の人々の価値観も変わるはずですし、そこから生まれるビジネスもあると考えています。現地で使用する冷蔵庫や冷凍庫は、ぜひフクシマガリレイさんにご協力いただきたいですね」。
世界中に、最上級の和牛の味を届けたい。牛肉をきっかけに、日本の食文化を伝えたい。 国や人種、文化や宗教のボーダーを超える、SEミート宮崎様の挑戦がいよいよ本格的に幕を開けました。その先に待っているのは、宮崎をはじめとする国内の畜産農家の方々の明るい未来です。