「新調理システム」とは?
「新調理システム」という言葉を耳にされたことはありますか?
今回は、病院・高齢者施設、ホテル・レストランなどさまざまな業種で活躍する「新調理システム」についてご紹介します。
「新調理システム」の定義とは
「新調理システム」とは、これまで経験や勘で運用されていた調理技術や調理場の管理をマニュアル化・システム化することによって、計画的に調理・提供を行うシステムです。クックチルや真空調理法などの調理・保存方法を組み合わせて運用します。
「新調理システム」の導入で解決される課題
なぜ「新調理システム」が注目されているのでしょうか。それは、調理現場で長年起こっていた、下記のような課題を解決するためです。
- スタッフ間の調理技術の格差によって味が変わる
- 食事を提供当日に作るため、調理時間に制限があり、その結果メニューが限られたり、時間に追われることによって起こるミスが心配
- 食材のロスが多い
- スタッフの不足
これまで各スタッフの勘や口頭伝承で行ってきた調理工程を数値化した高度なマニュアルと調理機器をうまく利用することで、調理場では料理提供日に先駆けて準備に取り掛かることができます。そうすることで、このような課題の解決や、昨今問題となっている人手不足によるお悩みの解決に役立つのです。
新調理システム導入現場の例
まだイメージが沸きづらいかもしれないので、具体的な例を出してみましょう。たとえば、レストランに大人数のお客様からフルコース料理の予約が入っている場合、その日レストランは①スタッフを増員して人海戦術で対応する、②いつもより長い時間、食事提供までにお客様をお待たせしてしまう、という2つの選択肢しかありませんでした。しかし、新調理システムに則った調理法が使えるようになることで、ピークではない日や時間帯にあらかじめ料理を作っておき、急速冷却または凍結して保存後、当日は最終加熱するだけで食事を提供することができるようになります。そうすることで、お客様をお待たせすることなく質の高い料理を提供することができるのです。
もちろん、食材の冷却・管理・最終加熱などそれぞれの工程は、衛生的に味を損なわず行われるよう、時間やルールが明確に決められています。
あらかじめ準備できることで調理場のメリットが生まれる
現在は病院・高齢者施設・レストランやホテルなどさまざまな調理場で新調理システムの導入が進んでいます。このシステムを取り入れてマニュアル化することで、下記のようなメリットが期待できます。
- 誰が作っても同じ仕上がりにすることができる
- 人手の集まらない時間を避けて調理を進めることができる
- 提供直前の慌ただしさを軽減することで、より美しい盛り付けができる
- 食材のロスを軽減できるなど、さまざまなメリットが生まれます。
「経験」や「感覚」として伝えられてきた情報を、科学的根拠を基に数値化して正確な手順として仕組み化すること。それが、新調理システムの役割なのです。