「津本式 究極の血抜き」による 魚本来のおいしさを宮崎から世界へ

宮崎市で水産物の仲卸業を営む有限会社カネ政商店様。海外進出の拠点として、輸出認証取得に適応した鮮魚加工場を新設しました。

お子さんもお年寄りも、安心して食べられる水産品を安定供給

カネ政商店様はスーパーマーケットなど小売店のほか、学校・幼稚園や病院・介護施設などに向けて鮮魚や加工品を提供する、宮﨑県で最大級規模の水産仲卸会社です。1977年の設立から40年以上にわたり、宮崎県内ならびに近隣の県へ魚介類を提供しています。 鮮魚加工場に隣接する「海鮮 長谷川(長谷川水産)」では、新鮮な魚を使用した海鮮丼を提供しています。

「時間が経つほど旨みが出る」独自の技術が生むおいしさを海外へ

長年の実績で培った加工技術と供給力を活用するため、新たなマーケットとして着目したのが海外です。輸出に必要な認証を取得するための施設として、2023年2月に鮮魚加工場を新設されました。同年12月から香港での取引を開始し、2024年5月にはさらなる販路開拓をめざし香港で試食会を実施。高い評価が集まり、その場で契約に至ったケースもありました。 「うちの魚は独自の技術で『血抜き（津本式）』をしているから、日が経っても腐らないし旨みが出てくる、熟成させることで本当のおいしさを引き出せるんですよ」と営業部長の津本様が教えてくださいました。 津本式とは、尾の部分に入れた切り込みから水を流し入れ、筋肉中の毛細血管の血を一気に抜き出す「究極の血抜き」方法です。時間をかけて魚を熟成させることで身に脂が回り、旨みが増します。東京海洋大学の研究によると、魚から最も旨みが出てくるのは処理から9～10日後とのこと。それだけの日数を経ても、「津本式」を施された魚は臭みが出ません。

魚はとれたてがおいしいといった、これまでの「当たり前」にとらわれることなく、試行錯誤を経ながら独自の理論で編み出された「津本式」。「命をいただいているわけだから、どれだけ魚をおいしく食べられるかを大切に考えたい」という想いを実現させています。 海外進出の拠点となる鮮魚加工場は、フクシマガリレイが設計から施工まで一式を担当しました。 整理整頓が行き届いた場内はHACCPに沿った一方通行の動線で交差汚染を防止する設計になっているほか、扉は手かざしセンサーで開閉が可能。壁面と床の境界にはアール巾木が採用されており、細部まで衛生管理が徹底されています。

室内の間仕切パネルはガリレイパネルクリエイトの製品が使用されているほか、各シンクで＜電解次亜水生成装置 F Eクリーン水＞が使えるよう配管にも工夫が凝らされています。

「魚を処理する際にFEクリーン水を使うと、水道水を使った場合と比べて菌の発生数を抑えられることがわかりました。まな板などの備品の除菌など用途は多岐にわたるので、場内の色々な場所でFEクリーン水が使えるようご提案いただき助かりました」（本多様）

より厳格な規格の取得や、自主検査に対応できる体制の確立を

水産仲卸会社としての存続と発展のために、新たなチャレンジを続けるカネ政商店様。宮崎の魚のおいしさを近隣の県や国外にもっと広めていきたい、とネットワークの拡大を強く意識されています。 その一環として、2024年5月に取得した「JFS-B規格ver3.0」に続き、今後はさらに厳格な基準である国際標準規格「JFS-C」の取得をめざしていくとのこと。 より安心して食べられる魚を、よりおいしく、そしてより多くの人へ。時代の変化にも適応しながら、ビジネスチャンスを模索するカネ政商店様。これからも卸売会社としての誇りを持って、国内外からの様々なニーズに応えられていくでしょう。