「クックサーブ」とは?

「新調理システム」やその中の調理法についてはこれまでも解説してきましたが、改めてここで従来の調理法である「クックサーブ」とは何なのかについて解説します。
クックサーブの定義と特徴
「クックサーブ」とは、従来から行われている調理法で、加熱等の調理後すぐに提供する方法のことです。クックサーブの特徴としては以下があげられます。
〈クックサーブの特徴〉
- 仕込み・加熱・提供という調理の流れがシンプルでわかりやすい
- 出来立て感やシズル感を演出しやすい
- 個人の発想やセンス、技術によって、個性的な料理や特徴的な味を生み出しやすい など
以前は、作り置きでは鮮度も味も落ちてしまうと考えられていたこともあり、提供前に調理を行うクックサーブが主流でした。
従来のクックサーブの課題
しかし、病院・ホテルなど大きな厨房を構える施設などで、徐々に従来のクックサーブにおける課題が見えてきました。
- 特定時間帯の作業量が多く、多数の人員が必要
- 食数が多くなると、適温提供が困難なことも
- 加熱調理後2時間以内の喫食の遵守が容易でなく、衛生管理上のリスクがある
- 早朝出勤・残業等の負担が大きい
- 調理する人による仕上がりのバラつきが出やすい
- 経験や勘に頼って仕上げるため、衛生管理が不十分な事がある
こういった問題点が浮かび上がってくると同時に、クックチルやクックフリーズなどの技術が進化してきました。急速冷却や衛生的な環境下での保存ができるようになり、「食事を美味しく安全な状態でキープできる」調理法が生まれたため、現在は病院、高齢者施設、ホテル、レストランなどさまざまな調理場で、クックチルを用いた運用が広まってきています。
こういった問題点が浮かび上がってくると同時に、クックチルやクックフリーズなどの技術が進化してきました。急速冷却や衛生的な環境下での保存ができるようになり、「食事を美味しく安全な状態でキープできる」調理法が生まれため、現在は病院、高齢者施設、ホテル、レストランなどさまざまな調理場で、クックチルを用いた運用が広まってきています。
クックサーブを新調理システムの一つとして考える
従来のクックサーブは、調理をする個人個人の持つ経験や勘・感性に頼っていました。その結果、先に述べたような課題が見えてきたのですが、やはりすべての料理がクックチルやクックフリーズのように作り置きできるわけではありません。当日・直前に完成させることが最良であるメニューもあります。
では、均質な料理を衛生的かつ効率的に作るにはどうすれば良いでしょう?
そこで、新調理システムの考え方を取り入れ、クックサーブでも「マニュアル化」をしていくことが重要になります。感覚で行っていた一つひとつの工程を「数値化」していくのです。例えば金串を刺して唇で測っていたお肉の温度を「オーブン●℃で中心温度▲℃まで上げる」などというように、具体的な数値で決めていきます。そうすることで、人によるブレ(焼きが甘かったり、焼きすぎたりしてしまうようなこと)なく、均質な料理を作ることが出来ます。
調理法を色々な選択肢から選べるようになったからこそ、クックサーブで提供するのが一番適している食事やシーン(調理後すぐに盛り付けができて、提供までに時間をそれほど要さないもの)では活用するなど、他の調理法とうまく使い分けたいものです。