グッドデザイン賞受賞!冷凍機内蔵型冷凍冷蔵ショーケース AMX/Cシリーズ 開発者インタビュー
冷凍機内蔵型のショーケースは電源があればどこでも商品陳列・販売ができる、スーパーマーケットや百貨店、飲食店でも活躍している機器です。今回当社の【冷凍機内蔵型冷凍冷蔵ショーケースAMX/Cシリーズ】が2022年度グッドデザイン賞を受賞しました。受賞までの経緯を開発者に聞きました。
食の安全性と環境への配慮を求める すべての店舗へ
受賞デザインが生まれたきっかけ
当社は創業以来70年余り業務用冷蔵庫やショーケースの開発と製造を続けていく中で(1962年に業務用ショーケース開発・量産を開始)、常にお客様のニーズに合わせて開発を続けてきました。店舗の内装に合わせたデザインはもちろんですが、近年では特に衛生面や環境へ配慮した製品が求められています。
今回開発した冷凍機内蔵型のオープンショーケースは、4方向から商品を取ることができるので私たちが考える以上に店内の様々な場所に設置されます。さらに、冷凍から冷蔵まで対応しているので、季節やイベントにあわせて自由に使用できることも特徴です。
そのため、他の陳列什器やどんな店内にも溶け込むシンプルなデザインが求められるところから開発がスタートしました。
どんなデザインを目指したか
外観のデザインだけでなく、清掃性やメンテナンス時の分解・部品交換の簡便さにも優れたショーケースである必要があり、大幅なパーツ構成の刷新を設計とデザインの双方からアプローチしました。
検討を進めていく中で、『ビスを減らす』という事が非常に重要でした。
ビスは視覚的にもノイズになるだけではなく、外れてしまうと異物混入にもつながる可能性があります。そこでパーツの取付方法の見直しなど、表面に出てくるビスを減らす設計を進めました。結果的に細かな段差がなくなったことで清掃性も上がり、メンテナンス時の分解・部品交換の簡便さにも優れたショーケースができました。
また、一般的にスーパーマーケット用のショーケースなどの業務用機器は多種多様なサイズ対応や仕様、コスト要望が多く、製造効率、材料費の削減が求められるため、インテリアとしても多くの要望があるにも関わらず、美しさ、スマートさとはかけ離れたデザインの機器になる傾向があったように思います。そこで改めて、工場と営業のメンバーで店舗でのショーケースのありかたを考え、機器構成の根本的な見直しと、外観デザインの刷新を目指しました。
その打ち合わせで出てきた一つの視点がプライスカードレールの設置位置です。
プライスカードレールは、こどもの目線付近にあることから店内でのケガにつながる恐れがあるのではないかという指摘でした。そこで取り付けやすさから飛び出してしまっていたプライスカードレールを、本体からの飛び出しを無くし安全性を最優先に考えながらも作業性も損なわない位置としました。
今後の目標
今回開発したショーケースは、インバーター冷凍機を搭載する省エネ機であり、シリーズ全機種がトップランナー基準(省エネ法)を達成しています。冷媒に地球温暖化係数が低い冷媒”R448A”を採用、外観のプラスチック使用量も大幅に削減し、製造~使用中~廃棄まで広く環境への負荷を小さくできるよう配慮しました。
今後は、さらに環境負荷の小さい冷媒への変更を検討し、食の安全性と環境への配慮を実現する製品を生み出していきたいと考えています。
AMX/Cシリーズの特長
- 冷蔵品からアイスクリームまで対応
-25~+15℃と温度帯が広くキャスター標準装備の為、設置の自由度が高く多様な場面で活躍します。季節やイベントに合わせて自由にお使いいただけます。 - 店舗になじむシンプルなデザイン
店内の装飾や様々なショーケースと一緒に並んでいても、単体でも店舗に馴染むシンプルなデザインです。シンプルなデザインだからこそ、清掃性も高く、店内衛生保全にもつながります。
新しくなったポイント
- 店内の安全性に配慮
プライスカードが設置される製品のフチの部分は、プライスカードの交換利便性を確保した上で、幼児の頭部位置でのガイド飛出しを避けたデザインにしました。 - 地球温暖化係数の低い冷媒を採用
地球温暖化係数の低い冷媒R448Aを採用した冷凍機を搭載。 - 外観のプラスチック使用量も大幅に削減
パーツ統合やビスレスを推進し、外観のプラスチック使用量も大幅に削減しました。製造から解体廃棄までの環境負荷に配慮しました。 - フィルタ清掃装置(オプション)
通常、3回/月のフィルタ清掃を推奨していますが、フィルタ清掃装置を搭載することで1回/月に手間を削減します。
グッドデザイン賞受賞のポイント
多種多様な業態の店舗スペースに柔軟に対応するために他社製品は要望を盛り込んだ過剰なデザインが多い中で、あえて空間に溶け込むシンプルなショーケースの開発を行なったことで他者との違いが明確に現れた。ミニマムな外観設計だけでなく、カラースキーム、素材の見直し、清掃性の向上、パーツの簡略化、リスクの軽減など、デザイン以外も丁寧にアップデートしており、製品としての完成度の高さに多くの評価が集まった。
(グッドデザイン賞審査委員による評価コメント)