グッドデザイン賞受賞!2室独立制御ドゥコンディショナー開発者インタビュー
ドゥコンディショナーはパン生地の《保冷・解凍・予熱・発酵(ホイロ)》の一連の流れを自動化できるベーカリーには欠かせない機器です。今回当社の【2室独立制御ドゥコンディショナー】が2020年度グッドデザイン賞を受賞しました。受賞までの経緯を開発者に聞きました。
パン屋さんのためのシンプルで機能的なデザイン
受賞デザインが生まれたきっかけ
当社のドゥコンディショナーを含むベーカリー加工機器は、かつては厨房奥に設置されパン職人しか見ることはありませんでした。その為、扉のガラスは小さく作り安全性や温湿度精度を優先し、扉ハンドルにおいても使い勝手を優先して大きなものを選定していました。
近年では日本の1世帯当たりのパンの支出額が米を上回り、お手ごろなパンのニーズは非常に高く、こだわりパンが特徴のカフェやベーカリーも人気を集めています。そして発酵から焼きたてまでを消費者に見せるオープンキッチンが主流となりつつあり、ベーカリー機器の意匠は店舗づくりの重要な要素となってきています。その中で安全性と温湿度精度を確保しつつ、『ガラスをどうしたら大きくできるのだろう』や、使い勝手はそのままに『ハンドルの出っ張りをなくせないか』などを考え動き出したのが開発のきっかけです。
どんなデザインを目指したか
ベーカリーにマッチするシンプルで機能的な外観デザインを目指しました。都市部で増加する狭小店舗を考え、扉のハンドルは出っ張りのない埋込型にしました。埋込型にすることで、パンのラックカートとの接触を避け安全性を向上しつつ、どの角度から見てもフラットなデザインを実現しました。他にも製品にアクセントカラーを入れてデザインを纏めるのではなく、異物混入に繋がる塗装部品は排除し、厨房機器として必須の清潔感を重視しました。ステンレス基調で纏められたデザインはあらゆる店舗意匠にマッチします。
今後の目標
もともとドゥコンディショナーは、朝の早いパン屋さんの為に開発されました。
早朝の生地の解凍や発酵などの仕込み作業を自動化することで、お客様の負担を軽減します。最近ではオーブン連動機能や複数のプログラム運転機能など、使い勝手が向上する機能が多く備わっています。今回開発したドゥコンディショナーは業界初の排水トラップ内の自動洗浄機能を追加しました。冷却や発酵だけでなく、清掃時間の短縮という面からもお客様のお手伝いをさせていただいています。こうしたお客様の負担軽減こそが、次に新しい価値を生み出す時間に繋がると考えています。今後も生活者の幸せの為にドゥコンディショナーの開発を通じてお客様と共創価値を生み出していきたいと考えています。
ドゥコンディショナーとは
“ドゥ(dough)”は英語でパン生地、“コンディショナー”は管理するための機械という意味です。温度と湿度を管理することによって、パン生地の発酵を良好に保ったり、一次発酵や冷蔵発行にも利用することが可能です。
ドゥコンディショナーを使うことで、前日に生地を仕込んで翌日朝一でパンを焼く事が出来るようになりました。
- 2室独立制御とは
上室と下室を異なる設定で動かすことができるので、効率よく多品種のパンを提供することが可能です。
例えば、発酵温度の異なる生地を同時にセットしたり、一次発酵と二次発酵を同時に行うことも可能です。作業効率のアップにもつながります。
新しくなったポイント
- 業界初排水トラップ内自動洗浄
これまでの課題であった、粉による排水詰まりを防ぐため、業界初の排水トラップ内の自動洗浄機能を追加しました。自動で排水経路に水を流し、排水トラップ内全体に水流を作り洗浄することで、手間となる清掃の頻度を大幅に削減することができます。 - スタイリッシュな扉フラット仕様
扉ハンドルを埋め込んだことで、すっきりとしたデザインを実現。
ラックカートとの接触も防ぎます。 - 庫内の視認性が大幅アップ
扉のガラス窓の面積を大きくし、庫内が良く見えるようになりました。
ガラス窓には結露防止に有効なトリプルガラスを採用。又、強化ガラスの採用により庫内外どちらからの衝撃に対しても強く、安全性も向上しました。
グッドデザイン賞受賞のポイント
パンの製造工程は原材料の保冷、こねあげ、1次発酵、2次発酵、などそのはじめから終わりまで繊細な温度管理が重要なポイントである。パン生地の保冷、解凍、予熱、発酵の一連の流れという機能に特化した技術はもちろん、デザインもすっきり丁寧にまとめられていて高評価となった。ユーザーにとって、とても分かりやすく頼もしい、明快なデザインである。さらに高効率インバーター採用により、従来機種と比較して消費電力量が約25.7%ダウン。圧倒的な省エネを実現している点も好ましい。その余白の時間で、人間のパンに対する創造性が生まれていくのを期待したい。