株式会社いちまる精肉ミートセンター寒冷地のスーパーが挑戦した
衛生と食の安全へのリノベーション
新鮮さを最大限に発揮できる加工工場へ
年間の平均気温が約7℃、冬場はマイナス10℃以下にもなる北海道帯広市。この地で地域密着型スーパーを展開する「いちまる」は、手狭になった加工工場を、全店舗の商品を一手に行える広さにリノベーションすることを計画していました。
そんな折、店舗近くの土地を取得できることになり、この機会に新しく加工工場「精肉ミートセンター」を作ることに。フクシマガリレイはその「内装」と「ハード面」を一から担当することになりました。
計画において何より優先したのは、高い衛生基準でした。「青木ビッグファーム」で育てられた安全安心で美味しいSPF豚などの精肉をはじめ鮮魚、野菜など生鮮食品の新鮮さが「いちまる」の魅力です。いかに精肉を安全に、新鮮さを保って加工作業をできるか、が課題となりました。
クリーンルームで徹底的な衛生管理
クリーンルームにHEPAフィルタ及び陽圧化制御盤
まず仕入れから加工、パッキング、保管(冷凍)、出荷までの一連の作業をワンウェイでスムーズに行えるレイアウトに設計しました。さらにすべての工程において商品を可能な限り外気に触れさせないようにドックシェルターを設けています。
そしてより高い衛生基準を実現するため、精肉加工スペースにはクリーンルームを導入しました。ここには高度な空気清浄機能を発揮する「HEPAフィルター」や、気圧を上げることで防虫防鼠、異物混入や外部から汚染された空気の進入を防ぐ空調システム(陽圧化)を取り入れています。
また従業員への不快な冷気を与える気流コールドドラフトの負担を減らすため、冷気が直接人に当たらないよう配慮したソックダクトクーラーを導入。そして冬場でも室温が常に8℃に保たれるようにガリレイパネルクリエイト(旧:FSP)の断熱パネルも組み合わせ、快適かつ衛生的な作業空間に仕上げました。
商品の日持ちを良くし、労働環境も改善
「クリーンルーム」を導入したことで良いことがありました。そのひとつが「食品の廃棄」を減らせたことです。商品の日持ちが良くなったことで加工、納品サイクルを早めることができ、より新鮮な商品をお客さまに提供できるようになりました。
また、従業員はこれまで朝4時から作業を開始し、その日に配給する商品を作っていましたが、衛生面が上がり、商品の日持ちが良くなったことで、翌日出荷する商品を前日のうちに仕上げることができるようになりました。その結果、従業員も朝は9時から出社すればよいことになり、労働環境が大幅に改善するという良い結果を得ることができました。
大きな挑戦からさらなる可能性の拡大へ
限られた条件のなかで、理想の精肉加工工場をどのように作り上げるのか。今回の取り組みはフクシマガリレイにとっても大きな挑戦であり、同時にこの経験からさまざまなヒントを得ることができました。
そして「いちまる」は「精肉ミートセンター」を起点に、新たに学校給食への配給を計画するなど、さらなる可能性を広げるべく挑戦を続けています。