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事例・インタビュー

【後編】HAL YAMASHITAのシェフが語る、
「これからの食と安全 食品関連における事業展開」

【後編】HAL YAMASHITAのシェフが語る、 「これからの食と安全 食品関連における事業展開」

和食レストランHAL YAMASHITA東京などを展開し、食関連のさまざまな取り組みに積極的に参画している、株式会社ウォーターマークの代表取締役社長・山下春幸様。コロナ禍においても、飲食店運営にとどまらない幅広い取り組みにチャレンジし、力強く飲食業界の未来を切り開いています。本記事は、フクシマガリレイが運営するオープンイノベーション拠点「MILAB」主催で2022年3月17日に開かれたセミナーでの、山下様の講演「これからの食と安全 食品関連における事業展開」から、内容を抜粋して掲載いたします。

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目 次

 変化するニーズに対応しながら、食品開発やコンサルティングに注力

 デジタルや機器を活用すれば、効率性と安全性は高められる

 「レストランの味を手軽に」届けるサービスも開発中

 フードロスゼロを目指して

 “未来を拓く”食のイノベーション拠点MILAB

変化するニーズに対応しながら、食品開発やコンサルティングに注力

コロナ禍以降、当社ではお弁当やお土産を開発するなど、食品開発や新商品の生産にも力を入れています。世間的には、コンビニや駅ナカ店舗において売れ行きのいいスイーツをレストランが開発する流れもトレンドとなっている印象があります。ただ、スイーツはブームの移り変わりがものすごく早いため、本業とうまくバランスを取りながら開発に取り組む必要があります。私たちも、京都・宇治のお茶の生産者の方から「コロナ禍で茶事が減少し、高級なお茶の葉が売れない」という相談を受けて、お茶の葉を使用したスイーツの開発などを手掛けてきました。

他には、ウェディング需要にも対応しています。以前は結婚式場における料理の監修やスイーツの納品がメインでしたが、結婚式の形態の変化に伴い、事前に参列者の方のご自宅に料理を届けるケースも増えてきています。WEB会議システムで結婚式にオンライン参加してもらいながら、一緒に料理を召し上がっていただくというもので、まさに今の時代に沿ったサービスです。

事業転換を進める食品関連企業や飲食店が増えてきたことに伴い、コンサルタント事業の需要も高まっています。IT化が進む中で実感するのは、「デジタルでおいしさを伝えることの難しさ」です。私は、アメリカやシンガポールのレストランに、WEB会議システムを活用して料理指導を行っています。HAL YAMASHITA東京で修行を積んだシェフたちが現地で働いているため、腕は確かなのですが、食感や味のゴールを共有することがとても難しいのです。そこで、政府や広告代理店、大学と一緒に、食感のデジタル化の研究にも取り組んでいます。また、香りをデジタル化して画面の向こうに伝えるための技術なども調査しています。

デジタルや機器を活用すれば、効率性と安全性は高められる

食の多様化に伴い、私たち食を提供する側にとっては、「デジタルや機器の力をいかに借りることができるか」という視点も重要になっています。加熱したてのアツアツの食品を入れることができ、水分・香り・風味を閉じ込めたまま粗熱取り・急速冷却・急速凍結をしてくれるブラストチラーに初めて出会った時は、「こんな夢みたいな機器があるのか!」とその便利さに驚いたものです。HAL YAMASHITA東京も店舗の全面改装を予定しており、厨房器具の入れ替えや新しいブラストチラーの導入を行います。これは、「最新の調理体制でアフターコロナの時代に対応できる店舗にしよう」という目的からです。もちろん以前から弊社のセントラルキッチンでブラストチラーを使っております。

効率よく加熱や冷却ができる方法が出てきて、冷蔵庫や調理機器の安全性が向上するなど、ここ数年でさまざまな進化がありました。洗浄機1つをとっても、洗浄の速度や精度が明らかに向上しています。最近では、水滴をまったく残さないグラス専用洗浄機なども登場しており、「グラスを拭く」という作業もレストランから無くなろうとしているほどです。デジタルや機器の力を借りることで、効率性や安全性を高めることが可能になっているからこそ、活用しない手は無いのです。

「レストランの味を手軽に」届けるサービスも開発中

さらに、適性「食」商品の研究も行っています。嚥下障害がある方の中には、「固形食が食べられず、流動食ばかりになってしまった」という方もいます。ただ、「それでは食の楽しみが大きく削られてしまうだろう」とずっと思っていました。そこで、嚥下障害に詳しい先生とも相談しながら、固形食と流動食の中間のような、安心・安全で、かつ香りも味も楽しめる食の開発を進めています。

また、HAL YAMASHITA東京本店で提供している料理をより多くの方に召し上がっていただきたいという思いから、調理後の料理を段階的に-36°まで凍結させることで、離水を防いで、家庭でも「お店で作りたての味」が再現できる商品の販売も始めました。手作りで作ったものを袋に詰めて自社の工場のブラストチラーに入れて凍結し、それを箱に詰めて送るという手作業ベースなので、たくさん生産はできませんが、ターゲットを絞り販売しています。

更に、新しい商品も開発中です。高齢のご夫婦から、よく「2人分の料理をちょうどいい量だけ作るのが難しい。かと言って、市販の商品は味が濃すぎる」という悩みを聞いていました。さらにワーキングママが増えているため、仕事が忙しくて夕食を作る時間が無く、お惣菜を購入して夕食に提供出している方も多いかと思います。そんな方たちに向けて、安全・安心で、温めるだけでおいしく食べられるような、日常使いのできる食事を提供したいと思い、家庭料理やおばんざい中心のメニューで、かつ味付けや塩分を選べるサスティナブルグロッサリーの開発を進めています。

フードロスゼロを目指して

もちろん、SDGsにもしっかり目を向けています。これまで13年間にわたって、国連WFP世界食糧計画の顧問として累計2579名の子どもたちの1年分の学校給食の支援を行ってきました。日本は「世界全体と比べて、8~10年SDGsへの対応が遅れている」と言われており、SDGsへの取り組みが急務となっています。

当社では、「恵方巻きのロスゼロ」や「おせち料理のロスゼロ」を達成しています。事前に予約を締め切り、予約分のみ生産するため実現できているのです。このように、「どうすればロスが出ないか」を考えて、計画的に生産することが今後さらに求められるでしょう。また、安心して皮や葉まで丸ごと食べられる有機農業の野菜を使用しているため、「使わない部分を捨てる」ということもありません。野菜の飾り切りやスープの裏ごしもしておらず、シェフが皆「いい素材を使い、素材そのままの味を最大限に引き出す」という精神で料理を作ることで、フードロスを防いでいます。

2021年12月には、日本の食文化を未来に繋げようと、飲食業界の新たな業界団体として「一般社団法人日本飲食団体連合会(食団連)」が発足しました。団体では、日本の食料自給率の向上が課題に挙がっています。輸入に頼り切りでは、何らかのリスクや世界の人口増加に伴って輸入が難しくなった時に、今の食事を続けることが難しくなってしまいます。他人事だと思わず、食に携わる皆で、自分にできることから取り組みを見直していければと思います。そして、コロナ禍で相変わらず飲食業界は厳しい状況ですが、「新しい日常を始めていくための転換点である」とプラスに認識して、これからも頑張っていきましょう。

“未来を拓く”食のイノベーション拠点MILAB

“未来を拓く”食のイノベーション拠点MILAB

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