公開日:2018.07.17 最終更新日:2025.04.25
厨房における衛生管理・抑えておくべき3つのポイント

安全に食事を提供(食品を製造)するためには、厨房の衛生管理が何よりも大切です。毎日のように調理を行う中で、慣れていくからこそ起こる、油断や見落としが食中毒などの大きなトラブルに繋がってしまうことも。そうした問題を起こさないためにも、抑えておきたい厨房の衛生管理のポイントについて、3つの観点からまとめました。
① 食材の衛生管理

まず重要なのが、扱う食材の衛生管理です。いつも、新鮮で安全な食材を使うために、以下のようなことが重要になります。
- 日付管理
日にちの経ってしまった食材をうっかり使用してしまわないために大切なのは、日付管理です。各食材の開封日や廃棄予定日、賞味期限などがわかるように、容器の外側やパックの表面にシールを貼るなどして管理しましょう。また、賞味期限が迫った食材が冷蔵庫の中で忘れ去られないように、賞味期限の近いものは冷蔵庫の手前、遠いものは奥といったように先入れ先出しが出来るよう、保管する場所の工夫も大切です。 - 温度管理
細菌の多くは、10℃以下で増殖がゆっくりとなり、マイナス15℃以下で増殖が停止します。仕入れた食材はすぐに冷蔵庫や冷凍庫に入れ、低温で保管するようにしましょう。また、細菌がよく育つ温度帯は20~50℃と言われています。調理後は常温の環境下に置かず、急速冷却機のブラストチラー/ショックフリーザーを使用し、冷風で素早く冷却するとより安全です。 - 保管方法
食材を保管する際に、大事なのが「区分保管」です。魚、肉、野菜、調理済み食材などを分けて保管して、相互汚染を防ぐようにしましょう。加熱・殺菌済みの食材は一番上の棚へ、ドリップの出る非加熱の肉・魚類は他の食材を汚染させないように最下段で保管するのがベストです。
② 厨房機器・設備の衛生管理

食材だけでなく、厨房で使用する調理器具や、冷蔵庫・冷凍庫などの厨房機器の衛生管理も大切です。
- 包丁やまな板の専用化
肉・魚・野菜といった食材の種類ごとに、付着する細菌は異なります。相互に汚染してしまわないよう、また加熱済みの食材が汚染されないように、調理器具は用途別および食材別に専用化するのが好ましいでしょう。その際、色分けや用途名の記入を行うなど、混同を防ぐ対策も必要です。 - 調理器具の洗浄・除菌
まな板の傷から細菌が入り込んで食材に付着することがあるように、日々使用している調理器具が、知らぬ間に不衛生な状態になってしまうことは防がなければなりません。調理器具は毎日きっちり洗剤で汚れを取って洗い流し、ペーパータオルやカウンタークロスできれいに水気を拭き取りましょう。熱湯で殺菌するとさらに衛生的です。ノロウイルス対策としても有効なFEクリーン水の使用もおすすめです。 - 厨房機器の清掃
厨房機器を清潔な状態に保っておくことも重要です。特に見落としがちなのが冷蔵庫の取っ手です。調理中にも様々な人が触れる場所なので、念入りに清掃をしましょう。また、冷蔵庫や製氷機のフィルターが汚れていると冷却や製氷不良を引き起こしてしまいますので、定期的に洗ってください。そうすることで省エネにもつながります。
③ 従業員の衛生管理

細菌は、ヒトを介して食材に付着してしまうこともあります。そのため、食材を扱う従業員の衛生管理もしっかりと行わなければなりません。
- 正しい手洗い
厨房で作業する従事員は、徹底した「衛生的手洗い」が必要になります。トイレの後などはもちろん、一定の間隔できちんと手を洗う習慣を徹底しましょう。手洗いは、①「洗う」(洗い残しの多い指先・指の間・親指の周り・手首なども忘れずに)②「拭く」(清潔なペーパータオルなどでしっかり水気を拭き取る)③「消毒する」(アルコールを両手全体にすり込む)
という手順で行います。 - 体調管理
たとえば、ノロウイルスにかかってしまった従業員が、自覚なく、あるいは休めない状況だったために厨房で調理をすると、その人を介して食材にウイルスが付着してしまいます。そうした事態を防ぐためにも、常にスタッフ同士で体調の確認を行いましょう。そして、体調不良のスタッフは調理場に入れず、必ず休ませるようにしましょう。また、体調不良を申告しやすい職場環境を作ることも重要です。
厨房の衛生管理状態のチェック・改善を
食品の安全を保つためには、「食材」「調理器具・厨房設備(厨房機器)」「従業員」の衛生管理を行う必要があります。いま一度、厨房の衛生管理状態を見直して、安全な食事を提供できるようにしましょう。