飲食店にも影響が及ぶ？今話題のHACCPとは

HACCPとは、一言で言えば「衛生管理手法」のことです。

H（hazard=危害）
A（analysis=分析）
C（critical=重要）
C（control=管理）
P（point=場所・工程）

これらの頭文字からとられたもので、「危害分析重要管理点」と訳されます。HACCPシステムの概要としては、原材料の受け入れから製品になるまでの各工程において、あらかじめ「微生物による汚染」や「金属の混入」などの危害を予測し、防止をするための重要な管理点を特定することで、それらのポイントを継続的に監視・記録をしていく衛生管理の手法です。

従来の管理手法では、最終製品から細菌などの抜き取り検査を行い、安全性を判断していました。万が一、問題が発生した場合には、前工程にフィードバックする、という流れです。一方、HACCPでは、原材料から最終製品に至るまで、工程ごとに危害要因を排除させる管理手順が定められています。継続的に監視や記録をしていくため、リアルタイムかつ高い水準で安全性が確保できます。それぞれの事業者が、使用する原材料や製造工程・方法に応じて、自ら策定・実行していく方法のため、有効性が期待されている合理的なシステムといえます。

はい、関係があります。HACCPは、食品の国際化を背景として、国連食糧農業機関（FAO）と世界保健機構（WHO）の合同機関である食品規格員会（CODEX）が発表したものです。現在では輸出する食品の国際基準にもなっているため、国内の食品・飲食業にも大きな影響を与えています。

はい、影響してきます。今後、待ち受けている日本の超高齢化社会を考慮すると、年間2000件に及ぶ食中毒のリスクは、より深刻化していきます。そこで、飲食店の大小は関係なく、HACCPなどの衛生管理方法の重要性は、増していくことが予想されます。

大きく分けると「業務の効率化」と「衛生面の向上」です。まずは、調理の製造工程が明確になるため、業務効率が改善されます。仕出しをしているお店であれば、取引先の数を大幅に増加できる可能性もあります。また、従業員の衛生面に対する意識の向上につながることで管理が行き届き、食中毒の発生リスクそのものが低減できます。

現時点では、推奨の段階です。ただし先程、少し触れたようにHACCPが義務化されている国へ輸出する場合や、国が定めている製造基準以外で、食品を製造している場合には、認証取得が必須となります。また、外国人観光客を対象にしているお店であれば、導入されていない場合、客足を鈍らせてしまうリスクが高まります。厚労省では、新規出店の際にHACCPの管理プランの提出も検討されているなど、制度化に向けた動きも進んでいます。

一般的には、「経営規模」や「流通範囲」、「食品の種類」などにより、どのHACCP認証が良いのかを選定します。認証機関は、国や自治体をはじめ、民間や業界団体など様々です。認証範囲はHACCP単独のものから、品質管理やマネジメントシステムを含むものなど、多岐に渡ります。