食品衛生管理について聞いてみた!第3弾「食品衛生の3原則『増やさない』のポイント」

今改めて振り返っておきたい食品衛生の基本から、これからの時期気をつけなければならないノロウイルス対策まで、〝食品衛生のプロフェッショナル〟であるサラヤ株式会社の砂川様にお話を伺うこの企画。
第3弾は、食品衛生の3原則「菌を増やさない」のポイントについてです。
前回、「食品衛生の3原則」から、「菌をつけない」について教えていただきました。今回は「増やさない」について教えてください。

菌を増やさないためにはどうすればいいかを紹介する前に、食中毒菌が増殖する条件を知っておいてもらいましょう。3つあるのですが、何だと思いますか?
水分と温度!……あとはなんでしょうか?

惜しいですね。3つの条件とは、①栄養、②水分、③温度です。
栄養というのは初耳ですね。詳しく教えていただけますか?

食品は、人にとっての栄養になりますよね。実は、細菌にとっても同じように栄養源となるのです。また、残さや調理器具類の汚れなども栄養になります。
えっ!汚れも栄養になるのですか!それは驚きました。

他もあわせて解説しておきます。細菌が増殖するためには、栄養以外に水分と温度も必要です。また、温度に関しては、一般的には10~60℃の温度帯で増殖し、人の体温に近い36℃前後の温度帯で最もよく発育すると言われています。
細菌が増える条件を揃えないように対処しないといけないのですね。

ただ、お気づきかもしれませんが、栄養と水分は食品そのものに含まれています。当たり前ですが、厨房では食品を取り扱うので、栄養と水分を取り除くことは不可能だと言えます。
たしかに!では、どうしたらいいのでしょうか?

厨房で唯一コントロールできる、温度で対策を打つことが必要です。細菌菌が増殖しやすい10〜60℃の温度帯を避けるために、しっかり温度管理された冷蔵庫、冷凍庫で食材を保管するようにしましょう。
冷却することで、菌を増やさないようにすることができるのですね。
では、冷蔵食材を常温の環境で調理する際にはどうしたらいいでしょうか?

常温で調理する時間を極力短くするようにします。調理が完了したら、すぐに冷蔵庫に入れて冷却することで、細菌が増殖する隙を与えないようにしましょう。このように細菌を増やさないためには、調理は迅速に行い、きちんと冷却することが需要です。
ちなみに、菌は10〜60℃の温度帯で増えるということは、高温帯にも弱いのでしょうか?

いい目の付けどころですね。その通りです。その話は、次の「菌をやっつける」で詳しくお話しします。