食品衛生管理について聞いてみた!第7弾「ノロウイルスの特徴」
今改めて振り返っておきたい食品衛生の基本から、これからの時期気をつけなければならないノロウイルス対策まで、〝食品衛生のプロフェッショナル〟であるサラヤ株式会社の砂川様にお話を伺うこの企画。
第7弾は、「ノロウイルスの特徴」についてです。
前回までは、食中毒対策として押さえておきたい衛生管理のポイントについて教えていただきました。今回からは、冬場に多く発生するノロウイルスについて詳しくお話を聞かせていただきたいです。
まずは「ノロウイルスの特徴」についてお話ししますね。第1回で少し触れたのですが覚えていますか?
ノロウイルスは細菌性食中毒に比べて、少量でも人の体内に入ってしまうと増殖してしまう危険性があるということですかね?
その通りです。細菌は①栄養、②水分、③温度の3つの条件が揃うと増殖しますが、ノロウイルスはヒトの腸管内で増殖します。つまり、たとえ少しの量でもノロウイルスが体内に入ってしまうと、腸管内で増殖して発症してしまう可能性があります。
聞いただけで恐ろしいですね。
細菌性食中毒の場合は、一般的に1gあたり何百万個もの細菌を含んだ食品を食べない限り食中毒は発症しないのですが、ノロウイルスは10個〜100個程度を体内に取り込んでしまうだけで発症するほど感染力が強いのです。
では、どのように対策を打てばいいのでしょうか?
ノロウイルスの場合はとにかく「つけない」ことが重要になります。そして、厨房の中にノロウイルスを「もちこまない」ことも大切です。具体的に言えば、ノロウイルス感染者を調理に従事させたり、厨房に入らせたりしないようにしてください。ノロウイルス集団発生の大半はヒト→ヒト感染によるものと言われています。
他に、知っておくべきノロウイルスの特徴はありますか?
これがとても厄介なのですが、ノロウイルスは体内に入っても症状が出ない場合があります。これは不顕正感染と言うのですが、本人に自覚症状が無いからこそ、気付かないうちにノロウイルスに感染している方が厨房に入ってしまう可能性があるのです。
そして、その方を通じて食品をノロウイルスで汚染してしまうことがあるのですね。
はい。厨房で直接食品を汚染してしまうこともあれば、不顕性感染の方がトイレの後に、手洗いが不十分のままトイレの壁や水道の蛇口などを触ることで汚染させてしまい、そこを触った別の方へと感染が広がっていく恐れもあります。