HACCP導入「7原則12手順」 (手順12)【原則7】記録・保管システムの確立
衛生管理手法であるHACCPは、組織全体で適切に実施することが求められます。その際に役立つのが、HACCPの運営手順をまとめた「7原則12手順」です。
近い将来、HACCPが義務化されても焦らなくていいように、各原則・手順についてきちんと内容を把握しておくことが必要となります。そこで、7原則12手順の詳細をそれぞれ解説しました。本記事では、「(手順12)【原則7】記録・保管システムの確立」について詳しくまとめています。
記録は衛生管理の証拠
記録はHACCPにおいてとても重要な工程です。工程管理がHACCPプランに添って実施されたことの証拠は、記録のなかに存在します。
万が一、製造した食品の安全性にかかわる問題が生じた場合でも、記録があれば、工程ごとに衛生管理の状況をさかのぼって調べることができ、原因究明の手がかりとなるのです。そのため、記録の付け方と記録の保管方法はあらかじめ決めておきましょう。
記録を付ける際に気を付けたいこと
記録は、忘れられてしまったり、後回しにされてしまってはいけません。そのため、普段使っている作業日報を少しアレンジするなど現場にとって使いやすいフォーマットに記録するようにしましょう。
また、記録を付ける際には下記のようなことに注意してください。
〈記録と保存の仕方〉
- 記録には、簡単に消したり修正したりできないボールペンなどを用いる
- 記録すべき作業の終了前に、結果を予測して記入しない
- 記入する時期を後回しにしたり、記憶により記入したりしない
- 記録する担当者は、確認した日付と時間を記録し、記録欄に空欄を残すことのないようにする(口頭で説明しても確たる証拠にならないため、できるだけ詳細に記録をすることが必要)
- 記載ミス等で記入した記録を修正する場合は、修正液や消しゴムを用いるのではなく2重線で消して新たに記入することで、書き換えたことがわかるようにする。それとともに、修正に責任をもつ者のサインを記す。
記録は、製品の種類や特性に応じて、最低1年以上は保管するようにし、責任者と保管場所もあらかじめ決めておきましょう。
記録はただ付けるだけでなく見直すことも大事
記録を付けることは、問題が起きたときの解決スピードの向上に寄与するのはもちろん、機器の特性、季節ごとに起こりやすいことや気を付けなければならないことを把握する手掛かりにもなります。そのため、記録はただ付けるだけでなく、しっかりとした管理体制の元に保管し、定期的に見直しを行うことが大切です。
7原則12手順の一覧
- HACCPチームの編成
- 製品説明書の作成
- 用途、対象者の確認(加熱の有無など)
- 製造工程一覧図の作成
- 製造工程図をもとにした現場確認
- 【原則1】危害要因の分析
- 【原則2】必須管理点の設定
- 【原則3】管理基準の設定
- 【原則4】モニタリング方法の設定
- 【原則5】管理基準逸脱時の是正措置の設定
- 【原則6】検証方法の設定
- 【原則7】記録・保管システムの確立
※手順1~5は、原則1~7を進めるための準備となります。