災害時でも食品の安全を守る、
BCP対応冷蔵庫の機能を解説
災害大国といわれる日本。地震や大雨・洪水などの災害はいつ、どこで起こってもおかしくありません。厨房施設でも、有事の際に慌てないようなインフラ整備をしておくことが大切です。災害時に備えたBCPの重要性と、BCP対応冷蔵庫を紹介します。
BCPが災害時の行動指針に
BCPとは「Business Continuity Plan」の略で、直訳すると「事業継続計画」です。企業やあらゆる現場において、自然災害や停電などの緊急事態が発生したときに、損害を最小限にとどめつつ事業の継続や早期復旧を可能とするために、平時から事業継続についての手段や方法などを取り決めておく計画のことを指します。
もちろん、BCPで想定したとおりの緊急事態が起こるとは限りません。けれど、一定のリスクを想定してマニュアルを用意しておけば、それを元に緊急時に的確な判断を下し、素早く対処することができるようになります。
災害時でも厨房の稼働を続けられるように
特に、病院や福祉施設では、災害により電気やガスが止まってしまったとしても入院患者や入所者へ継続的に食事を提供しなければなりません。さらに病院においては、大地震等の災害時に被災した方を新たに患者として受け入れなければならない場面もあります。つまり、どのような状況下でも厨房の稼働を続けなければならないのです。
近年の非常食は大変優れていますが、嚥下(えんげ)食や流動食しか喫食できない方へは、なるべくバリエーションを用意し、温かくて美味しい食事を提供できることに越したことはないでしょう。
そのために、非常電源を用意することや、電気とガスを併用するなど、1つのインフラが途絶えても代替できるようにしておきましょう。また、新調理システムのクックチルなどを調理現場で採用し日頃から作り置きがあれば、それらを提供することで一定期間しのぐことができます。
そして、冷蔵庫の運転を守ることも大切です。食材を保管している冷蔵庫が、停電などにより運転が止まってしまったら大変。気温の高い季節であれば、用意していた材料や作り置きしていた食事が傷み、提供できなくなってしまいます。こういった事態を防ぎ対処しながら、緊急事態でも食事を継続的に提供できるシステムづくりをすることが大切なのです。
災害時に活躍するBCP対応冷蔵庫
現在、フクシマガリレイでは「BCP対応冷蔵庫」を開発しています。BCP対応型冷蔵庫には、以下のような機能を実装予定です。
- 自動災害モードで72時間稼働
停電時、バッテリー電源に自動で切り替わり、冷蔵庫を災害モード(省エネモード)にすることで、災害時のインフラ復旧までに掛かるおおよそ3日間72時間の連続運転を可能にします。
*省エネモード- 庫内温度自動切換え
通常時と停電時の2つの温度を予め設定しておけば、停電時は設定温度を上げて運転を行います。(例:3℃から5℃にシフト) - 霜取り回数を減らします。
- 結露防止ヒーターの通電を停止します。
- 庫内温度自動切換え
- 非常用電源としての利用
冷蔵庫のバッテリー電源を他の電気製品の非常用電源に利用できます。- 携帯電話充電用のUSBポートがあり携帯電話の充電ができます。
- 100V電源コンセントがあり100V仕様の電気製品への電源供給ができます。
*バッテリー電源を他の電気製品の非常用電源として利用した場合は、冷蔵庫の連続運転時間は短くなります。
BCPを準備しておくことによって、災害発生から復旧を行うまでの期間を短くすることができると言われています。食事提供のためのBCP整備について、「日常からの備え」「災害時の対応」などを検討してはいかがでしょうか。