フロン?冷媒?ってなに?

冷蔵庫や冷凍庫、エアコンなどに冷媒として使用されている「フロン」。今回はフロンの基礎的な役割と種類について説明します。
■ 冷媒・フロンとは
■ クロロフルオロカーボン(CFC)
■ ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)
■ ハイドロフルオロオレフィン(HFO)
■ 自然冷媒
■ フロン排出抑制法
冷媒・フロンとは
冷蔵庫やスーパーのショーケース、エアコンなど冷暖房装置や冷凍冷蔵装置で重要な役割を持っているのが冷媒です。冷媒は気化熱と凝縮熱という働きを利用し、『熱』を運ぶ役割をしています。 冷媒として使われているフロンは常温常圧では気体ですが、圧力をかけ熱を放出させると液体になります。次に圧力を下げ、周囲から熱を奪うと気体に戻ります。この仕組みによる冷凍冷蔵装置のエネルギー効率は大変高いものになっています。

クロロフルオロカーボン(CFC)
R-12に代表される、炭素に塩素とフッ素が結合して成り立っている冷媒です。1930年にアンモニア等の代わりとなる安全な冷媒として開発されました。 その特徴は不燃性で無毒であることから広く活用されていました。
しかしCFCは極めて安定で、塩素が含まれていることから成層圏にたどりつきオゾン層を破壊することが判明し、世界的に規制が進み1996年に全廃されました。
ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)
R-22に代表される、炭素にフッ素、塩素、水素が化合して成り立っている冷媒です。CFCと比較するとオゾン層破壊係数が低いことから、CFCの代わりに主流となりました。
ところが、HCFCにも塩素が含まれておりオゾン層破壊係数を有していることから、1987年のモントリオール議定書および1988年のオゾン層保護法に基づき、2015年から6割削減、2020年から生産ができなくなりました。
ハイドロフルオロオレフィン(HFO)
水素、フッ素、炭素で構成される不飽和有機化合物。二重結合の特徴を持っており、地球温暖化係数が圧倒的に低い冷媒です。
特にHFO-1234yfは、冷却性能やエネルギー効率もHFCの1つであるHFC-134aと特性が似ているので、カーエアコンで採用されています。小型機器向き・高価・微燃性であることから、まだ用途が限られています。
自然冷媒
自然界にもともと存在する物質を使用した冷媒のことを、自然冷媒と言います。フロン類に比べると環境にやさしいのが特徴ですが、アンモニアなど可燃性がある物質もあり、実用に向けて課題が残されています。
CO2 (二酸化炭素) R-744
「毒性」「可燃性」は有りませんが、高濃度になると人体に影響があります。また、圧力がフロン系と比較すると4倍になり、取り扱いには より一層の注意が必要です。導入コストが高額になることも…
NH3 (アンモニア) R-717
「毒性」「可燃性」「金属腐食性」があることから取り扱いが難しい冷媒です。技術開発により、改善された点もありますが、臭気もあり用途が限られます。
イソブタン R-600a / プロパン R-290
家庭用の冷蔵庫や自動販売機、カセットボンベの燃料に使用されています。「毒性」はありませんが、「強燃性」であるため、危険回避のために使用量が規制されています。
フロン排出抑制法
2015年4月1日に施工された「フロン排出抑制法」ではフロンを使用する機器を持つユーザー(以下、管理者)への役割が定められました。
フロンは何らかの事情により漏れ出ることがあります。その量は全流通量の40〜50%にもなっています。そのためメーカーだけでなく、管理者も冷媒のことを理解し、適正な「管理」「記録」「報告」が求められています。
定期的な機器の点検やメンテナンスなどを行うことで、冷媒の漏洩を未然に防ぐことも可能です。ぜひこの機会に機器の確認をしてみてください。
