HACCP導入「7原則12手順」 (手順5)製造工程図をもとにした現場確認

衛生管理手法であるHACCPは、組織全体で適切に実施することが求められます。その際に役立つのが、HACCPの運営手順をまとめた「7原則12手順」です。
近い将来、HACCPが義務化されても焦らなくていいように、各原則・手順についてきちんと内容を把握しておくことが必要となります。そこで、7原則12手順の詳細をそれぞれ解説しました。本記事では、 「(手順5)製造工程図をもとにした現場確認」について詳しくまとめています。
製造工程一覧図の内容と実状に乖離がないかを調べる
製造工程一覧図を作成したら、それが現場の実状を正確に示しているかどうかを確認することが必要になります。そこで、HACCPチームのメンバーで現場に出て、工場内で行われる原料の入荷から製品の出荷までの工程を実際に確認してみましょう。
事実と違う工程が図に記載されていては、この後行う危害要因の分析が正しくできなくなる恐れがあるので、この観察・確認の作業は必須となります。そのため、従業員の動きがわかる作業中に実施するのがベストです。
図と異なる内容を見つけたら、確認して図を修正する
基本的には、製造工程一覧図と、目の前で順番に行われる各作業工程を照らし合わせて、相違があるかないかを確認することになります。観察する中で、「この工程の図への記入が漏れている」「ラインの導線が変更されていた」「ラベルの表示内容が変わっていた」など、無かったはずの作業が行われていたり、工程が変わっていたりすることがあるかもしれません。用意した製造工程一覧図と、実工程の人の動き・物の動きに乖離がみられたものは、現場でもう一度しっかりと正しい手順を確かめてください。そして、製造工程一覧図を正しい内容へ修正しましょう。
メンバー全員で現場を観察できる貴重な機会
この「製造工程一覧図の現場確認」の工程は、HACCPチームのメンバー全員で現場に出向く貴重な機会です。事前に情報として知っていた各工程の作業について、各自が自分の目で見聞きして理解を深めることで、より現状の食品衛生に関する問題点を洗い出しやすくなることでしょう。図と照らし合わせての確認はもちろんですが、その他にも気付いたことがあれば、ぜひ他のメンバーに共有・報告してください。
7原則12手順の一覧
- HACCPチームの編成
- 製品説明書の作成
- 用途、対象者の確認(加熱の有無など)
- 製造工程一覧図の作成
- 製造工程図をもとにした現場確認
- 【原則1】危害要因の分析
- 【原則2】必須管理点の設定
- 【原則3】管理基準の設定
- 【原則4】モニタリング方法の設定
- 【原則5】管理基準逸脱時の是正措置の設定
- 【原則6】検証方法の設定
- 【原則7】記録・保管システムの確立
※手順1~5は、原則1~7を進めるための準備となります。