食品衛生管理について聞いてみた!第5弾「食材ごとの衛生管理」

今改めて振り返っておきたい食品衛生の基本から、これからの時期気をつけなければならないノロウイルス対策まで、〝食品衛生のプロフェッショナル〟であるサラヤ株式会社の砂川様にお話を伺うこの企画。
第5弾は、「食材ごとの衛生管理」についてです。
前回までは「食品衛生の3原則」について教えていただきました。今回は厨房において気をつけるべきである、食材ごとの衛生管理について教えてください。

はい。食材ごとの衛生管理を行う大前提として覚えていただきたいことがあります。それは、食材ごとに付着している細菌の種類が違うということです。
そうなんですね!

食材ごとに説明していきましょう。まず、肉は主に牛の腸の中に生息するO-157が有名ですよね。鶏肉であれば、食中毒発生の原因として多いカンピロバクターや、鶏卵の中に生息しているサルモネラにも気を付けねばなりません。
こういった細菌は、加熱することによってやっつけられますか?

はい。熱に弱いので、前回お話したようにきっちり加熱することでやっつけることができます。
魚にはどのような細菌が付着していますか?

腸炎ビブリオという菌が生息しています。この細菌はもともと海水に生息しており、真水に弱いので、水道水で洗うだけでも死滅します。あるいは加熱してやっつけることもできます。1980年代までは食中毒事件の半数以上を占めていましたが、最近は発生件数がぐっと減りました。
どうしてですか?

2001年に食品衛生法が一部改正され、生食用の鮮魚介類などに対して「腸炎ビブリオの規格基準」が新たに設けられました。これにより、生食用鮮魚介類の加工に使用する水の管理や流通販売時の低温管理が定められ、徹底されたからだと思われます。
ただし、日本では魚生食文化があるので、発生件数は減ったといっても気を付けるようにしましょう。
なるほど。他に、野菜や果物だとどうですか?

果物は木に実っているものも多いですが、野菜は土で育つものが多いので、土壌由来の菌がいます。またO-157が付いている可能性もあります。
O-157は牛の腸の中に多く生息するものなのに、なぜ野菜に付くのですか?

例えば、野菜を作っている農家さんの近くに、牛を飼っている牧場がある場合もあります。雨が降った際などに牛の糞等が地下水に入ってしまって、農家さんが利用する井戸水経由で土壌に浸透して、野菜に細菌が付着することもあります。
では、野菜等に付着してしまったとして、菌をやっつけるにはどうしたらいいのでしょうか?

野菜はサラダなど生で食べることも多いので、汚染されている可能性があるかもしれないということを念頭に置いて、きっちり洗浄殺菌することが大事です。一般的には塩素で殺菌しますが、最近は電解水なども浸透していますよね。カット野菜工場やコンビニのお弁当工場などで普及がすすんでいます。
教えていただきありがとうございます。
こうした食材ごとの衛生管理全般においては何が一番大切でしょうか?

肉・魚・野菜といった食材の種類ごとに付着している細菌は異なるため、それぞれ相互に汚染してしまわないように気をつけることが重要ですね。そのために、調理器具をそれぞれの食材ごとに専用化するなどの対策をしてください。