HACCP導入「7原則12手順」 (手順11)【原則6】検証方法の設定
衛生管理手法であるHACCPは、組織全体で適切に実施することが求められます。その際に役立つのが、HACCPの運営手順をまとめた「7原則12手順」です。
近い将来、HACCPが義務化されても焦らなくていいように、各原則・手順についてきちんと内容を把握しておくことが必要となります。そこで、7原則12手順の詳細をそれぞれ解説しました。本記事では、「(手順11)【原則6】検証方法の設定」について詳しくまとめています。
HACCPプランの有効性を確認する工程
HACCPプランに従って実施されているか、有効に機能しているか、プランに修正が必要か否かを、実際に製造を行った上で評価し検討する工程です。
検証方法には、内部検証と外部検証の2つがあります。内部検証とは、施設自らがHACCPプランの検証を行うことです。外部検証とは、検証に客観性をもたせるために施設関係者以外の第三者によってHACCPプランの検証作業を行ってもらうことです。
定期的にあらゆる項目からHACCPを検証することが必要
検証にあたっては、HACCPプランに従って実際に管理が行われているかを見る「HACCPプランごとの検証」と、HACCPプランが有効に機能しているかを見る「HACCPシステム全体の検証」を適正な頻度で実施する必要があります。
〈HACCPプランごとの検証〉
- モニタリングに用いる測定装置(計器)の校正
- 原材料、中間製品、最終製品の試験検査
- 製造、加工条件の測定
- CCPのモニタリング記録、是正措置記録、検証記録の確認
〈HACCPシステム全体の検証〉
- 消費者からの苦情または回収原因の解析(消費者からのクレームについて、HACCPプランに関係するものか、新しいCCPが顕在化したものであるか否かを見直す)
- モニタリング作業の適性度の現場確認(モニタリングの方法は適切か、モニタリング結果はきちんと記録されているかを確認する)
- 法令等規格基準への妥当性を確認
- 最終製品の試験検査
また、HACCPシステムの検証を定期的に実施するのはもちろん、HACCPシステムの妥当性も随時確認しなければいけません。特に下記のようなタイミングでは、必ず確認を行うようにしましょう。
〈HACCPプランの妥当性確認のタイミング〉
- 年に1回以上
- 原材料、製造工程またはシステム、包装最終製品の配送システム、最終製品の消費者などに変更があったとき
- 検証の結果,HACCPプランの欠陥またはその可能性が見られるとき
- 同一の食品または同一の食品群において新たな危害要因が判明したとき
- 製品の安全性に関する新たな情報が得られたとき
HACCPプランは、衛生管理状況や新しい情報を元に改良を加えるなどして、発展させていくことが望まれます。
HACCPプランをアップデートし続けることでより強固な食品管理体制が整う
よく混同されやすい「モニタリング」がCCPの管理状態をチェックすることを指す一方で、「検証」は作成されたHACCPプランの有効性を確認するためのものです。検証を行うことで、モニタリングに確証が得られ、安全性を確保できるようになります。
定期的に検証を行い、既存のHACCPプランの弱点を認識しアップデートすることで、HACCPプランを発展させ、より安全な食品管理体制を確立しましょう。
7原則12手順の一覧
- HACCPチームの編成
- 製品説明書の作成
- 用途、対象者の確認(加熱の有無など)
- 製造工程一覧図の作成
- 製造工程図をもとにした現場確認
- 【原則1】危害要因の分析
- 【原則2】必須管理点の設定
- 【原則3】管理基準の設定
- 【原則4】モニタリング方法の設定
- 【原則5】管理基準逸脱時の是正措置の設定
- 【原則6】検証方法の設定
- 【原則7】記録・保管システムの確立
※手順1~5は、原則1~7を進めるための準備となります。