ブラストチラーとアルコール凍結のメリットとは

調理では加熱工程に注目してしまいがちですが、食品の安全やおいしさのためには「冷却」の工程も重要です。そこで活躍するのが、「ブラストチラー/ショックフリーザー」と現在話題の「アルコール凍結」です。テイクアウトやECサイトへの需要の高まりで導入が進む、ブラストチラーとアルコール凍結を紹介します。
■ ブラストチラー/ショックフリーザーとは
■ ブラストチラーのメリット
■ ブラストチラーのデメリット
■ アルコール凍結機とは
■ アルコール凍結のメリット
■ アルコール凍結のデメリット
■ ガリレイのブラストチラー・アルコール凍結器
■ まとめ
ブラストチラー/ショックフリーザーとは

アツアツの食材を最大-40℃の冷風で急速冷却、急速凍結できる機器です。飲食店やスーパー、病院、食品工場、製菓・製パンなど幅広い食の現場で使われています。 冷やすというと冷凍冷蔵庫を使用している方もいらっしゃるかもしれませんが、冷凍冷蔵庫は、既に冷えている食材を保管するための機器です。なので「冷やす」「凍らせる」ために使用してしまうと機器に負担をかけてしまったり、ほかの食材をダメにしてしまうことがあります。
それに対して、ブラストチラー/ショックフリーザーは「冷やす」「凍らせる」ための加工機器なのです。
ブラストチラーを使用すると、時間と温度を同時に管理できるので、クックチル・クックフリーズを活用した計画生産も可能になり、人手不足対応にもつながります。 また、スチームコンベクションオーブンと連携しやすいホテルパン対応なので、近年ニーズの高まっているテイクアウト販売やEC販売などにも役立ちます。
ブラストチラーのメリット
1.安全性UP
適切な加熱調理によって細菌は死滅します。しかし、粗熱取りの際に自然冷却してしまうと菌の増殖温度帯(約10~60℃)をゆっくり通過するため、食中毒の危険性が高くなります。ブラストチラーでは、この菌の増殖温度帯を短時間で通過させることができ、菌の増殖を防ぎます。落下細菌の付着や虫・異物の混入も防げるため、食品の安全性を守ることが可能です。
2.品質UP
通常、加熱調理した食品は、冷めるにつれて湯気と一緒に水分や香り、色などが失われていきます。しかし、ブラストチラーで急速冷却すれば、「旨み・香り・水分」などをギュッと閉じ込め、風味を残すことができるので、再加熱後もおいしくいただける状態に仕上がります。
3.効率UP
加熱した食品を熱々のまま入れることができるので、これまで粗熱取りや冷却にかかっていた時間を大幅に短縮します。また、ホテルパンのまま入れることができるので食材の形態を選びません。調理現場では、作業時間の短縮によって生まれた時間を、「新メニュー開発」など別の作業時間に充てることができるようになります。また、食品を安全に長期保存できることで、クックチルによる計画調理も可能になります。
また、設置する際も電源・排水のみで良いので、比較的簡単に置くことができるのもメリットの一つです。(自動洗浄機能付き、別置型を除く)
ブラストチラーのデメリット
しかしそんなブラストチラーにも苦手なポイントがあります。
1.凍結スピード
冷風で冷却するため、アルコール凍結に比べて凍結スピードが遅い。
2.苦手な食材がある
厚みのある食品やとろみのついた食品などは冷却・凍結に時間がかかりやすいので使用する際には注意が必要です。
ブラストチラーは食材によって凍結時間にばらつきが出てしまいますが、ホテルパンのままやパック入りの食材など食材の状態を選ばず使用することができます。
アルコール凍結機とは

液体のアルコールを使用して急速に凍結する機器です。真空パックなど、包まれた状態の食材を浸漬させて凍結します。アルコールは気体よりも熱伝導率が高いので、凍結速度が非常に早いのが特徴です。凍結時間が短いので、食品の品質劣化を最小限に抑えることが可能です。水産加工品を中心に畜産、農産といった素材の凍結が中心に使用されていましたが、最近はスーパーマーケットでのお総菜の凍結などにも使用されています。
アルコール凍結のメリット
1.冷却スピードが速い
液体と気体では熱伝導率に約20倍の差があるので、食材への熱伝導率が高く、冷却スピードが早いので作業時間の短縮につながります。
2.凍結ムラが少ない
アルコールをポンプで強制循環し、槽内の前後から均一に食材にアルコールが当たるのでムラなく凍結させることができます。
3.日々の清掃不要
アルコール凍結では日ごとの清掃はほとんど行うことはなく、週ごとなど定期的なアルコールの補充のみをすることになります。これは濾過装置が付いているという点もありますが、パックされた商品のみを凍結する場合は、食品と槽内液の直接の干渉をないものと考えているためです。
しかしながら不測の汚れが発生した場合には、庫内の溶液を一度廃棄し、庫内を洗浄し新品のアルコールを入れる必要があります。
4.大型の機種もあり
最大250kg/hまでの生産量に対応する機種もあり、生産量に合わせた機器選定が可能です。
アルコール凍結のデメリット
1.食材にアルコールをつけてはいけない
食材にアルコール臭がついてはいけない為、真空パックをしてから凍結する必要があり、アルコールを拭く工程が発生するなど手間があります。凍結中に袋が破れてしまった場合に、食材が売り物にできないなどのリスクがあります。
2.溶液のコスト
電気代以外に不凍液、包装材などのランニングコストがかかります。
溶液はアルコールだけではなく、塩水、アルコール、エチレングリコール、塩化カルシウムなどの種類があり、冷凍する食材に合わせて機器選定することが必要です。
(LSHOCK®️はアルコールのみ対応)
ガリレイのブラストチラー・アルコール凍結器
フクシマガリレイのブラストチラーはお手入れが簡単な自動洗浄タイプや100V電源で使用可能な小型機器もあり、設置場所や処理量に合わせて選択することが可能!USBメモリへの温度データの記録や温度管理システムとの連携※もでき、厨房のDXにもつながります。(※オプション対応です)
ガリレイのグループであるタカハシガリレイのアルコールバッチ式急速凍結装置LSHOCK®は、アルコールを循環させながら冷却する方式のため、ムラなくブラストチラーよりも更に早く凍結させることができます。
溶液に汚れが発生してしまった場合、庫内の溶液を一度廃棄し、新品のアルコールを入れる必要がありますが、オプションでアルコール濾過装置や蒸留装置もご用意しているので、ぜひご検討ください。
まとめ
空気で凍結する「ブラストチラー/ショックフリーザー」と液体で凍結する「アルコール凍結」のメリットとデメリットを紹介しました。使用する食材や提供形態、導入店舗のスペースなどに合わせた機器選定が重要です。
ガリレイグループ本社MILAB(大阪)では「ブラストチラー/ショックフリーザー」と「アルコール凍結」の凍結試験も可能です。ぜひお気軽にお問い合わせください。